京都も急激に暖かくなってきました。
暖かくなって外出する機会が増えてきますと、歩行者や自転車での交通事故が増加してきます。
皆様も十分お気を付けください。
1 過失割合の決まり方
交通事故での被害の大きさと過失割合は全く別の話になります。
勿論、被害者側の損害が大きい場合が多いですが、被害の大きさを比べて過失割合が決まるのではありません。
例えば、歩行者と自動車の交通事故では、通常は、歩行者の被害の方が大きくなります。
しかし、大けがをしているからといって、歩行者が常に被害者とは限りません。
基本的には、客観的な事故の状況をもとに過失割合は決まります。
話し合いで解決する場合には、保険会社や本人との話し合いで決まることもありますし、裁判になれば事故状況等をもとに裁判官が決めることになります。過失割合については、別冊判例タイムズ38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」が典型的な事故状況での判例上の過失割合をまとめており、それを参考にして過失割合を決めることが多くなっています。
例えば、交差点で、歩行者が信号が赤に変わって時間がたってから横断を開始し、自動車が青信号で直進してきてお互いが衝突した場合には、通常は歩行者でも加害者になります。歩行者だからというだけで被害者になるわけではありませんし、歩行者が大けがをしたか軽傷だったかでも過失割合は変わりません。
このように、客観的な事故状況により、過失割合は判断されますが、双方が認識している事故状況が違えば、過失割合の主張は大きく違ってきます。
まずは、事故状況についてのお互いの認識が同じかどうかを確認する必要があります。
事故状況について共通の認識があれば、事故状況に応じた基本的な過失割合や修正要素について検討する必要があります。
事故状況について認識が違えば、それぞれの認識や証拠をもとに過失割合について争うことになります。
2 民事事件と警察
交通事故があると、警察が捜査をします。しかし、警察は行政罰や刑事罰に必要な範囲での捜査をしているため、それ以外の捜査はしてくれません。また、民事についての過失割合を決めてはくれません。
ただし、警察が作成した資料を民事事件で活用することはできます。
警察が作成した実況見分調書などを取り寄せることで、実況見分をした当事者が、実況見分をした当時、事故状況をどのように説明しているかを知ることができます。
ドライブレコーダーや防犯カメラなどにはっきり写っているなど、事故の状況の客観的な証拠が残っていなければ、警察が作成する書類が本人のお話し以外の唯一の書類となることがあります。
交通事故にあわれて過失割合について争うことになりそうな場合は、必ず人身事故届出をして実況見分をしておいてください。