1 交通事故の損害賠償責任
交通事故により発生した損害は、その過失割合に応じて賠償する責任があります。
交通事故の当事者同士であれば、基本的には加害者側が賠償をすることになり、賠償の際に自分の過失分が差し引かれたり、自分の保険を使って過失分の賠償をしたりすることになります。
2 第三者に損害が発生した場合
一方、交通事故に責任がない第三者が事故に巻き込まれた場合には、第三者にとっては事故の責任を負っている者すべてが加害者になります。
複数の加害者が共同して損害を与えた場合には、通常は、共同不法行為として加害者全員が被害者に対して不真正連帯債務を負います。
例えば、交差点で自動車同士が衝突した勢いで歩道に突っ込んで歩行者にケガを負わせたり、電柱を壊したりしたり、自動車の同乗者にけがをさせた場合には、自動車の運転者が共同して第三者に損害を負わせたとして共同不法行為となることがあります。
共同不法行為の場合には、不真正連帯債務を負う者がそれぞれ損害の全額を賠償する義務を負います。被害者は加害者のそれぞれに全額の損害賠償請求をしてもよいのです。
ただし、債務は1つですので、賠償を受けた分の債務は消滅し、損害額を超えて賠償を受け取ることはできません。加害者の誰かから損害賠償額の全額を受け取れば、他の加害者に請求をすることができなくなります。
被害者は、加害者のうち一人でも任意保険や資力があれば救済されることになりますので、被害者の権利が保護されることになります。
3 共同不法行為責任を負った一人が被害者に対して損害を賠償した場合
共同不法行為責任を負った者のうちの一人が被害者に賠償を行った場合には、自身の責任割合を超えて損害を賠償した部分について、他の共同不法行為責任を負った者に対して求償することができます。
例えば、第三者の損害が100万円で、全額の賠償した加害者の過失が3割、もう一人の加害者の過失が7割であれば、全額の賠償した加害者はもう一人の加害者に70万円を支払うよう請求できます。
最終的には、加害者は過失割合に従って交通事故によって発生した損害賠償をしなければならなりません。
4 交通事故で加害者が複数いる場合
交通事故で加害者が複数いる場合には、誰にどのように請求を行うかは非常に複雑ですが、被害者にとってとても重要となることがあります。
交通事故に巻き込まれた被害者の方は、お早めに弁護士にご相談ください。