後遺障害における加重傷害について

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交通事故等で何かお困りごとがございましたら,弁護士法人心にご相談ください。

それでは,本日は,後遺障害の加重障害についてお話します。

1 既存障害があるとき
交通事故にあう前にその部位にすでに既存障害があった方が,同一部位や同一系列の部位に再度交通事故で傷害を受けた場合には,どのように考えればよいのでしょうか。
後遺障害の考え方では,同一部位等に新たに障害が加わったとしても,交通事故前の障害等級よりも等級が重くなるのでなければ,あらたな後遺障害とは評価されません。
事故前のケガや病気で障害のある方が,既存の障害と同じ部位に同じ等級の後遺障害が認定されても,障害等級表上の障害の程度を加重したものといえず,後遺障害に該当しないとされるのです。
被害者の方としては,せっかく痛みをほとんど感じないようになっていたのにまた痛みが出てきたり,もともとあった痛みに加えて痺れまで発生するようになったなどの場合は,納得できないお気持ちは強いかと思います。
しかし,症状が悪化したり加わったりしたとしても,後遺障害等級が同じであれば,前に認定された等級の範囲内の障害として,後遺障害部分が傷害部分とは別に損害賠償の対象となることはないのです。
ケガをした部位に症状が残っていたとしてもある程度以上でないと後遺障害とは認定されないのと同じで,同じ等級内での症状と判断された場合には,事故前と比較した悪化の度合いが小さいと評価され,後遺障害にあたらないことになります。
例えば,何年も前に頸部のムチウチの痛みで後遺障害等級14級9号を認定された方が,再度事故にあわれて頸部のムチウチになって痛みがぶり返りたり,しびれが加わったり等しても,同じ14級9号の認定であれば,後遺障害としての賠償を受けることができないのです。
交通事故にあう前に,ケガをした部位に何らかの症状があったことがある場合には,後遺障害申請をする際に注意が必要です。

2 加重障害の発生

では,事故前から障害が残存していたところに交通事故によって新たに障害が加わった結果,現存する後遺障害が既存の障害の程度よりも重くなったと認定された場合には,どのように考えるのでしょうか。
すでに後遺障害がある方が傷害を受けたのちに同一部位で前回より加重された重い等級が認定された場合には,加重された後遺障害等級の賠償金から既にあった後遺障害等級分の賠償金を差し引いた金額の賠償を受けることになります。
交通事故で発生した損害は,等級が過重となって悪化した部分のみですので,既存障害の部分はその交通事故とは関係のない損害になります。
そこで,加重された後遺障害に該当する賠償金の金額から,もともとの等級に相当する賠償金の金額が控除されることになるのです。
加重障害の方の後遺障害申請や損害賠償請求には,慎重な判断や複雑な計算が必要になることが多いですので,お早めに弁護士にご相談ください。
また,ご相談の際には,事故で症状が出た部位等に事故前に症状が出たことがあったかや過去に交通事故にあったことがあるかなど,古い話でもきちんと思い出したうえでご相談ください。