交通事故の訴訟提起

1 夏の交通事故

 暑さが厳しい季節です。京都でも暑い日が続いております。

 夏はレジャーや帰省などで、慣れない場所の運転や、渋滞や長距離で長時間の運転をしていたり、暑さなどで疲労が溜まったまま運転をしていたりして、居眠り運転や漫然とした運転をして大きな事故がおこりがちです。運転の際には十分にお気を付けください。

 また、大きな交通事故の場合には、話し合いでは解決できずに裁判所で訴訟をして決着をつけることも多くなっています。

 では、訴訟を行う場合には、どこのどの裁判所で訴訟を提起するのでしょうか。

2 裁判の管轄

 交通事故で訴訟をする場合には、簡易裁判所で訴訟を提起する場合と地方裁判所で訴訟を提起する場合があります。

 訴えの対象となる金額が原則として140万円以下の場合には、原則として簡易裁判所に訴訟を提起します。訴えの対象となる金額が140万円を超える請求をする場合には、地方裁判所で訴訟を提起します。

 地方裁判所は請求する金額が大きかったり内容が複雑だったりする訴訟を担当することになっていますので、まずは請求する金額でどの裁判所に訴訟を提起するかを決めています。

 次に、どこの裁判所に裁判を提起できるかの場所を決めることになります。

 裁判は、原則として、被告(相手方)の住所地を基準にして、その地域の訴訟を担当する裁判所で提起をできます。また、交通事故の裁判の場合は、原告(訴える方)の住所地を担当する裁判所でも提起できますし、事故が起こった場所を担当する裁判所にも裁判を提起することができます。

 当事者本人が訴訟をする場合には、期日に裁判所に行かなければなりません。

 また、代理人がいて本人が出廷しなくてもよい場合でも、裁判を続けていくと当事者尋問や証人尋問など、ご本人や関係者に裁判所で話をしてもらう機会があります。現場を実際に確認する必要がある場合などで裁判官に直接事故現場を確認してもらうこともあります。

 その際に裁判所や事故現場への行きやすさが重要になりますので、裁判をどこで行うかはとても大切です。

3 移送申立

 裁判をどこで行うかが重要なため、訴訟を提起した後に相手から別の裁判所で審理するように移送申立がされることがあります。例えば、相手が遠隔地に住んでいた場合などに、相手の住所地を担当する裁判所に移送するように求めてくる場合があります。

 移送申立がされると、申立書で移送先とされている裁判所が担当するべきか、訴訟を提起された裁判所で担当するべきか、当事者双方から意見が出され、最終的に裁判所が移送するかどうかを決定します。

 例えば、宇治市に住んでいて宇治簡易裁判所に訴訟を提起したのに、相手が亀岡市に住んでいた場合には亀岡簡易裁判所への移送申立をされることがあります。旅行先や仕事先で事故があった場合などでは、他府県の裁判所への移送申立をされることもあります。

 訴訟の内容の審理に入る前に、どこで訴訟を担当するかが争われることがあるのです。

4 訴訟は専門家にお任せください

 交通事故の被害者が訴訟を提起する場合にも、どこのどの裁判所に提起できるかのルールや、場所によるメリットやデメリットがある場合があります。

 交通事故の訴訟は、弁護士にお任せください。