自動車の停止距離

1 自動車の停止距離

 自動車を運転していている際に、停止しようとしてブレーキを踏んでも、すぐに止まることはできません。

 一般的には、運転者が危険を感じてから実際に停止するまでに、①危険と判断してブレーキをかけようと思考する、②右足をブレーキに移動してアクセルペダルからブレーキペダルに移動させる、③ブレーキペダルを踏みこんでブレーキをかける、④ブレーキが利き始める、⑤自動車が停止する、という過程を経る必要があります。

 各過程の間にも自動車は前に進んでいますので、危険を感じてから停止するまでのことを考慮すると、車の安全に運転するためには、十分な車間距離が必要になります。

2 停止距離の計算方法

 自動車の停止距離は、①~④の空走距離と④~⑤の制動距離を足した距離です。

 なお、空走距離は、反応時間(秒)×車の速度(m/秒)に、制動距離は、車の速度(時速/km)の2乗÷(254×摩擦係数)になります。

 例えば、乾燥したアスファルト舗装道路での時速50キロでの停止距離は、約24.48mに、時速80キロでの停止距離は、約52.66mに、なります。

 もちろん、停止距離は、運転者の能力や体調など運転者の状態、路面の種類や状態、タイヤの種類や状態、自動車の重さや性能などにも左右されます。

 例えば、運転者が疲れていたり眠気があったりすれば、反応時間が長くなり空走距離が伸びて、停止距離が長くなります。また、路面が凍結していたり、雨が降っていてハイドロプレーニング現象がおきると、自動車を停止させること自体が困難になったりすることがあります。タイヤがすり減って溝がなくなっていれば滑って停止しにくくなります。

3 年末には特に事故にご注意ください

 年末になり、自動車を運転する際に寒さや雪で路面の状態が悪かったり、運転手が疲れていたり急いでいたりすることが多くなっています。

 自動車を運転する際には、環境や速度に応じて十分な車間距離を保ちながら慎重に運転をしてください。

 また、疲労や眠気がある状態で運転すると、事故の危険や重大な事故になる可能性が高まります。自動車を運転する際には、余裕をもって予定時間より早めに行動し、こまめに休息をとるなど、無理をせずに、安全運転を心がけてください。