京都も梅雨に入ってから雨の日が多くなってきています。
雨の日は交通事故が起こりやすくなっておりますので、皆様お気を付けください。
さて、今回は休業損害証明書について、お話をします。
1 休業損害証明書はいつ誰が作成するのか
交通事故にあった会社員やアルバイトなどの給与所得者が、ケガなどが原因で仕事を休んだ場合には、休業損害証明書を作成して仕事を休んで収入が減額したことを証明する必要があります。
給与所得は生活にかかわっていますので、早急に請求する必要がある場合には、事故から給与の締め日までの分など、ある程度の区切りをつけて一定期間分を何回かに分けて休業損害証明書を作成して請求していくことがあります。
また、休業日数が少なく生活に影響が少ない場合などには、症状固定時に事故発生時点からの全ての期間の休業損害証明をまとめて休業損害証明書を作成して、示談交渉をする前に提出することもあります。
では、保険会社から、休業損害証明書の用紙や記載例を渡された場合には、どのようにすればよいのでしょうか。
休業損害証明書は、自分で作成するものではなく、勤務先の会社に作成をお願いするものです。
時々、被害者の方が記載例を見ながら作成しようとしている場合がありますが、ご自分で作成するものではありません。お仕事を休んだ会社に持参して作成をお願いするものです。
勤務先の会社が大きな会社ですと総務部や人事部が担当している場合が多いですが、中小企業の場合には社長自らが作成してくれる場合もあります。
会社の中で誰が休業損害証明書の作成を担当しているかは会社によって異なっていますが、ご自分で作ろうとはせずに勤め先に用紙をもっていって、担当の方に作成をお願いしてください。
派遣社員の方は、派遣先ではなく、派遣元の派遣会社に作成をお願いすることになります。
2 休業損害証明書の訂正
休業損害証明書には、会社の印鑑を押したり、担当者の名前や連絡先を書く欄もあります。
担当者が慣れていなくて、間違いなどがある場合には、直接保険会社から担当者に連絡がいき、担当者が訂正をすることもあります。また、修正をお願いするように被害者に返送されてくる場合もあります。
保険会社から返送された書類の訂正を担当者にお願いしづらかったり、訂正に時間がかかるのを嫌がって自分で直そうとする方がいらっしゃいますが、絶対に自分で勝手に休業損害証明書に書き込んだりしないでください。
些細な誤記でも、勝手に自分で修正しようとはせずに、必ず担当者に訂正をお願いしてください。
権限のない方が勝手に内容を変えてしまうと、休業損害証明書の内容が全く信用されなくなったり、私文書偽造になったり、場合によっては虚偽の書類による休業損害の請求として詐欺になったりします。
休業損害証明書は、事故とはかかわりのない第三者である会社が、仕事を休んだことや給料の金額等を証明することが大きな意味をもっていますので、休業損害証明書の作成については勤務先に任せてください。
3 休業損害証明書に添付する書類や記載内容
休業損害証明書には、事故前年度の源泉徴収票を貼付する部分があります。
事故前年度に勤務先に在籍していないような場合には、源泉徴収票の代わりに事故前3か月の賃金台帳の写しを提出する場合もあります。
休業損害を請求する場合にはこれらの書類を揃えて、休業損害証明書と一緒に提出する必要があります。
また、休業損害証明書には、有給や欠勤、遅刻等の日数を記入する場所があります。
3 不明な点は弁護士にご相談ください
通常の有給休暇は、事故が原因で有給休暇を取得しなければ他のことに使用したり、買い取りをしてもらえる等、経済的な価値のあるものですので、事故が原因で収入が減少していなくても有給休暇を使用したことにより休業損害が発生したといえ、賠償を受けることができます。
保険会社は、事故が原因で会社を休んだことを知っていれば必要な書類を渡してくれますが、あまり詳しく説明してくれません。
また、有給休暇分の休業損害を請求することを知らなかったり、休んだかどうかを確認していない保険会社の担当者が書類を渡さずに被害者が休業損害の請求をしないまま示談をしてしまうこともあります。
一旦相手の保険会社と示談をしてしまうと、あとから追加で休業損害を請求することができなくなってしまいます。
交通事故の被害者の方で事故が原因でお仕事を休まれたりした方は、請求すべきものを請求できているかや支払い金額が正しいかどうかを、弁護士に相談して確認してみてください。